山本さんのところに石を持っていった。
これって、十字架みたいだね。と山本さんが言ったので、僕は、えっと思った。
僕も、確かにそんな気もしてたので、十字架に特別な思い入れのある人には、軽々に見せられないなとは思っていた。
山本さんがそういう人で、こういう石を使うわけにはいかないとか、言われてしまうのかなと思ったが、そうではないようだ。
ただそう見える。
ほぞは十字に切ったほうが、機能的に確かにいい。
それに水抜きの道をしっかりつけると、十字架のような切込みになるのは、ある意味必然と言っていい。
これは、柱石としての機能を追及した結果、たどり着いた形なのです。
だから、美しい。
こうして写真にとってみると、きれいだ。
このまま庭に、オブジェとして置いてあってもいいな、と思ったくらいだ。
きちんとした柱石としての形を、整形してないのがいいんだね。
荒々しくて、でもやってることは繊細。
なに言ってんだよ。ただの石じゃないか、と言われてしまえばそれだけの事なのですが、
いろんなことに思いがめぐる石なのです、これが。