2006年01月31日

K さんのブロンズ

岸さんのブロンズ

「煙モウモウに行こう。」とたまに電話が掛かってくる。

友達だと言ってくれるが、人生の大先輩。私のデザインの先生。辛辣な批評家。そしてわがままな言いたい放題のジジイ。

でも、一人では赤提灯に入れない。
ホテルで待ち合わせて、一晩酒飲みながらいろんな話を聞き、いろんな話を聞いてもらう。
私の日ごろの作品を見てもらいアドバイスをもらう。

卓抜した美意識と、キャリアの持ち主。
少年のような柔らかな感性を持ち、なんにでもすぐ感動する。

上海で育ち、大陸で少年時代を送り、戦時の国家統制の中にいながら、芸大で自由な学生生活を謳歌する。
亡くなった今泉イマエモンや、佐渡で現役の三代宮田藍堂とは芸代の同期で親友。

20年前自宅を建てさせていただいたのが縁で、ずっと親しくして頂いている。
京都へは何度も連れて行ってもらい、若造には立ち入れないような場所に同行した。

そして今度は、永代供養の寺に一緒に行く。
夫婦でそこに入るという手続きに立ち会う。

多くのことを教えられ、導かれ叱られて今日に至るが、この私の師匠は、今度は人生の始末の付け方を私に見せようとしている。

家造りが互いの人生にまで係わることがあると、漠然と感じてはいたが、ここまで深い縁を結べるものかと、あらためて事の重さを知る。

このブロンズKさんの作品です。
私のアトリエの入り口の正面に飾ってある。

いつまでも人に育てられている自分を感じる。

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