
街道筋の家にヒメシャラが入りました。
伊豆の山に入るとこのヒメシャラがたくさん自生している。
ヒョロヒョロ、スッとしていて、木肌が赤い。まあちょっと色気のある木です。春には白い花が咲きます。
私の家にも入っています。
街道筋の家のコンセプトを共有していただいたクライアントは、
たった一本入れる木に、このヒメシャラを選んでくださいました。いいですねえ。
色気っていうのは、新しい街道筋の家には必要ですね。
街道筋にこうして木が一本一本植わっていくと、
これは、昔の街道筋とはおもむきがだいぶ違ってきますね。
家の前に、車が止まって、木が植わっていて、けれど家並みが、いらかの波が調和を持って連なっている。
ちょっといいんじゃあないでしょうか。
古いものを残すことだけが街並み保存ではないのです。
一般の人たちが重要文化財に暮らしているわけじゃあない。
どんどん立て替えていっても仕方のないことなのです。
時代によってその姿を変えながらも、街並みが保存され、新しく形成されていく。
文化を、伝統を、意識し、隣の家との調和を考えながら家を建て替えていくんです。
すでに壊されてしまった街並みのことを嘆くのでなく、これから建てる家のことを真剣に考えるんです。
自分は、この街のこの場所に家を建てる。さあどんな家を建てるべきか。
真剣に考えるんです。
家は確かに自分のものですが、家によって造られる景観はみんなのものです。
それが地域の文化になっていくんですね。
やがて、みんなに言われるようになる。
「ああ、あなたは、いい街に住んでいるんですねえ」と。
ね、いいでしょ。
僕はこうして細々と家づくりをさせていただきながら、
不遜にも、50年後、100年後の街道筋の家並みを思い浮かべたりしているのです。
街道筋はすべて京都につながっている。
だから、どんな地方の街道筋の家も、京のみやびと文化を感じることが出来るんですね。